肥満外来とは
肥満外来は、医学的な根拠に基づいて、健康的かつ安全に体重を減らすための治療外来です。
食事療法・運動療法を中心に、必要に応じて薬物療法も組み合わせ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防・改善を図ります。単に“体重を落とすこと”を目的とするのではなく、「健康寿命を延ばすための減量」を目指します。
生活習慣病と肥満は深い関係があります
日頃の不摂生な生活習慣(偏食・過食、運動不足、喫煙、多量の飲酒、ストレス 等)が引き金となって発症する病気のことを総称して生活習慣病といいます。代表的な疾患としては、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などがあります。これまで生活習慣病に縁がなかったといった方でも一度は聞いたことがある病名もあるかと思います。なおこれらの病気のほとんどは、発症しても自覚症状が現れにくいという特長があります。そのため放置しやすいのですが、この状態を続けると血管は常に損傷を受け続け、動脈硬化を促進させます。これが血管の肥厚化を招いて柔軟性を欠き、血管内部は脆弱化していきます。それによって血管の狭窄や閉塞を引き起こせば、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、閉塞性動脈硬化症など重篤な合併症を発症することもあります。
したがって早期に生活習慣病の発症に気づくことが大切なのですが、そのためには定期的に健康診断を受け、結果を確認します。そして、数値(血糖、血圧、コレステロール、中性脂肪、尿酸値 等)の異常の指摘を受けた、生活習慣病に罹患していたという場合は、これまでの生活習慣を見直していくことで、予防あるいは治療につながります。つまり重篤な合併症をするリスクは低減されるようになります。
当院では、生活習慣病の患者様、あるいはその予備群とされる方を対象に治療や予防対策も行っています。食事療法や運動療法はもちろん、それだけでは改善が困難という場合は、薬物療法などを用いるなどして、関連する数値をコントロールしていき、怖い合併症の発症リスクを遠ざけ、生活習慣病の根本的な原因となる「肥満」に注目し、健康的な減量と生活改善を目指す「肥満外来」を設けています。
肥満外来は「ダイエット目的」ではご利用できません
当院の肥満外来は、医学的治療が必要な方を対象としています。
以下のような方は、受診の対象外となる場合があります。
- ダイエットのみを目的として受診している方
- 糖質制限で痩せたい方
- 美容のためだけに体重を減らしたい方
- 食事療法または運動療法のどちらかを全く行うつもりがない方
- 短期間で急激に痩せたい方
- 特定の食べ物や飲み物を使ったダイエットを希望する方
当院では、生活習慣病の予防・治療を目的とした減量を行います。
「健康的に」「無理なく」「リバウンドしない」ことを重視し、医師と管理栄養士が二人三脚でサポートします。
このような症状・お悩みはありませんか?
- 糖尿病・脂質異常症・高血圧を指摘された
- BMIが25以上、または腹囲が男性85cm・女性90cm以上
- 健康診断で生活習慣病を指摘された
- 急に体重が増えた、または内臓脂肪が気になる
- 運動をしても体重が減らない、リバウンドを繰り返している
- 食事や生活習慣を見直したいが、何から始めていいかわからない
※保険診療で対応可能な範囲内で、医師が治療を行います。
肥満外来は何キロから?保険診療の対象となる条件
以下の条件に該当する方は、肥満外来での治療が保険診療の対象となります。
- BMIが35以上
- 肥満に関連する健康障害がある
- 肥満に加え、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの診断を受けている
- 肥満に加え、睡眠時無呼吸症候群の診断を受けている
- 肥満による膝や腰の痛みがある など
肥満が引き起こす生活習慣病
肥満は「体の見た目」だけでなく、血管や臓器にも大きな負担を与えます。 特に内臓脂肪が多い「内臓脂肪型肥満」は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などを引き起こす原因となります。
放置すると以下の病気に進展するおそれがあります。
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 高尿酸血症(痛風)
- 脂肪肝
- 心筋梗塞・狭心症
- 脳梗塞・脳出血
- 睡眠時無呼吸症候群
- 変形性膝関節症・腰痛症
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とは
内臓脂肪型肥満(ポッコリお腹が出ている状態)とされる方は、何かしらの生活習慣病に罹患しておらず、血糖、脂質、血圧の数値がやや異常程度であったとしても、動脈硬化を促進させ、脳血管障害(脳梗塞 等)や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)などの合併症の発症リスクを高めます。このような状態にあるとメタボリックシンドローム(通称:メタボ)と判定され、生活習慣病の患者様等に行われる、治療や予防が必要になります。具体的な診断基準につきましては以下の通りです。
診断基準
※必須条件
- ウエストサイズ(腹囲)を測定※し、男性85cm以上、女性90cm以上であること
※腹囲の測定時は、足を25~30㎝程度開いて立った状態になります。息を軽く吐き、へその位置で計測
さらに下記3項目のうち、2項目以上が当てはまるとメタボと判定
血糖
- 空腹時血糖値が110mg ⁄ dL以上
血圧
- 収縮期血圧(最高血圧)が130mmHg以上、もしくは拡張期血圧(最低血圧)が 85mmHg以上
脂質
- トリグリセライド(中性脂肪)値が150mg ⁄ dL以上、またはHDL(善玉)コレステロール値が40mg ⁄ dL未
早期に生活改善を行うことで、将来の合併症を予防できます。
当院の肥満外来で行う治療
食事療法
栄養バランスを整え、摂取エネルギーを適正化します。 極端な糖質制限ではなく、「続けられる食事改善」を重視します。 食事内容・回数・間食・飲酒量などを確認し、管理栄養士が具体的なアドバイスを行います。
運動療法
ウォーキングやストレッチなど、有酸素運動を中心に無理なく続けられる運動をご提案します。 筋力維持を目的とした軽い筋トレを組み合わせ、基礎代謝を高めて「太りにくい体質」をつくります。
薬物療法(必要に応じて)
食事・運動療法で十分な効果が得られない場合は、糖尿病・高脂血症・高血圧などに応じた薬物療法を行います。 BMIや症状によっては、抗肥満薬(サノレックスなど)やGLP-1受容体作動薬(ウゴービなど)の使用を検討します。
受診の流れ
ご予約
お電話またはWEBにて「肥満外来希望」とお伝えください。
初回診察・検査
問診と採血を行い、原因や生活習慣を確認します。
治療方針の決定
結果をもとに、食事・運動・薬物療法の方針を決定します。
定期フォローアップ
1~2か月ごとに経過を確認しながら、無理のない減量をサポートします。

