胃カメラとは

一般的に胃カメラと呼ばれる検査機器の正式名称は、上部消化管内視鏡です。同検査機器の操作部より伸びた細長い先端部(スコープ部分)には、小型CCD、照明、対物レンズ、物をつかむための鉗子などが搭載されています。この細長い先端部を口や鼻から挿入していくことで、咽頭、食道、胃、十二指腸の内腔の様子を確認することができ、観察したい部位の病変の有無などを確認することができます。

また単に観察するだけでなく、がんなどの病変が疑われる組織があれば、一部組織を内視鏡で採取し、顕微鏡で詳細を調べる検査(生検)を行います。このほか同検査によって発見されたポリープが、内視鏡で切除可能となれば、日帰り手術として除去することもあります。

なお胃カメラでよく発見される胃がんですが、発症初期は自覚症状が出にくいです。そのため初期の時点で発症に気づくケースというのは、定期的な健診で胃カメラによる検査をしたことで見つかることが大半です。胃がんの罹患率は50歳を過ぎた頃から増加していきます。早期に発見すればするほど予後は良いとされているので、これまでに胃に何らかの症状があったことはないという方でも、50歳を過ぎる頃から定期的に受診されることをお勧めします。

胃カメラによる検査を受けた方が良い方

  • バリウム検査(胃部X線検査)の結果で、要精密検査と判定された
  • 喉がよくつかえる
  • ピロリ菌感染の可能性が高い
  • 親族に胃がんの罹患者がいる
  • 胃に不快感(胸やけ、吐き気 等)がある
  • 血便が出た
  • 40歳を過ぎたが、胃がん検診を一度も受けたことがない
など

胃カメラで発見可能とされる病気

胃がん、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、食道がん、胃炎(急性、慢性)、胃ポリープ、ヘリコバクター・ピロリ、食道裂孔ヘルニア など

経口内視鏡と経鼻内視鏡

胃カメラに関しては、口から内視鏡を挿入する経口内視鏡と鼻から挿入する経鼻内視鏡の2種類があります。当院では、経鼻内視鏡です。

経鼻内視鏡の特長

経鼻内視鏡は、通りが良いとされる左右どちらかの鼻の穴から胃カメラのスコープの径が6㎜ほどの内視鏡を挿入します。この場合、舌の根にスコープが触れないので、嘔吐反射(オエッとなる)は出にくいとされ、検査中に苦しい思いをすることは少ないとされています。そのため鎮静剤を使用せずに検査を受けることも可能です(希望者には投与します)。また検査時は口呼吸となりますので、検査中に質問や不安なことがあれば、医師に話しかけることもできます。

ちなみに経鼻内視鏡を希望されても、鼻の違和感が苦手、先天的に鼻腔が狭い、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症等の疾患があるという方には、経口内視鏡による検査をお勧めしています。

経口内視鏡の特長

従来からある口から挿入するタイプの検査方法が経口内視鏡です。挿入時などで舌の根にスコープが触れるようになるので、嘔吐反射が出て苦しくなります。これを緩和させるために鎮静剤を投与します。検査中は意識が薄らいだ状態(呼びかけに答えられる程度)になるので、苦しさは感じにくくなります。利点としては、経鼻よりもスコープの径が太い(直径約10㎜)内視鏡を使用するので、より鮮明な画像で観察部位の内腔をチェックすることができるといったことがあります。

胃カメラ検査の流れ

胃カメラによる検査を希望される方には、あらかじめ外来での診察をご受診ください。その結果、同検査を問題なく受けられるとなれば、日時を予約します。なお予約時は、経口と経鼻のどちらで受けるかを決めていただくほか、感染症発症の有無を確認するための血液検査も行います。そのほか常用薬のある方は事前にお申し出ください。種類が分からない場合はお薬手帳をご持参し、服用に関しては医師の指示に従うようにしてください。

検査前日の注意点ですが、前日の夕食は21時までに終えてください。飲み物については、水やお茶であれば制限されることはないです。検査当日は、検査が終わるまでは絶食となります。飲み物は水であれば問題ありません。なお常用薬については医師の指示通りにしてください。また鎮静剤を使用される場合、当日はご自身の運転(車、バイク、自転車 等)による来院は控えてください。

来院後の胃カメラによる検査の流れ

01

問診・診察

検査をするにあたり、問題がないかを確認するためにWEB問診と診察を行います。

02

麻酔投与

検査を開始する前に、まず観察しやすい状態にするため、胃の中の泡を除去するために消泡剤を飲みます。その後、経口内視鏡は咽頭麻酔を行い、経鼻内視鏡では鼻の内部に麻酔を投与していきます。鎮静剤を希望される方は、内視鏡を挿入する前に行います。

03

検査開始

左側を下にして検査台で横になります。鼻もしくは口から内視鏡を挿入していきます。食道、胃、十二指腸などの内部の様子を観察していきます。病変等が疑われる組織があれば、内視鏡で一部を採取し、詳細を顕微鏡で調べる検査もしていきます(生検)。また検査中に関してですが、経鼻内視鏡の場合は、気になることがあれば医師に話しかけることもできます。経口内視鏡の検査では、口内に唾液が溜まるようになります。ただこれは飲み込まないで、口の横から流していきます。

04

検査終了

食道、胃、十二指腸等、上部消化管の観察を一通り終えると検査は終了です。時間については、個人差は多少あるものの、観察のみであれば5~10分程度です。

検査後の注意点

検査を終えた後も気をつけなければならないことがあります。以下の点にご注意ください。

  • 鎮静剤を使用された方は、検査終了後に30分~1時間程度は院内でお休みください。
  • 経鼻内視鏡で検査を受けた方は、鼻を強くかむのを控えるようにします。
  • 食事は検査を終えた一時間後にしてください(観察のみの場合)。なお食事を始める前に水を少量口に含み、むせることがなければ問題なく食事がとれます。