糖尿病

糖尿病とは

血液中でブドウ糖が慢性的に過剰な状態になっていると糖尿病と診断されます。通常であれば、血液中のブドウ糖は細胞に取り込まれ、脳などのエネルギー源になっていきます。その際は、膵臓で作成され分泌されるホルモンの一種インスリンの働きが関わっています。ただ何かしらの原因で作用不足を起こすことで分泌が不十分となると、血液中でブドウ糖は増え続けるので血糖値（血液中に含まれるブドウ糖の濃度）は上昇したままとなってしまいます。これが糖尿病発症のメカニズムです。

なお糖尿病発症の有無を判定する際に行われるのが血液検査です。同検査で、血糖値とHbA1cの数値を測定していきます。診断基準については以下の通りです。

※①と②の両方とも該当すると糖尿病ということになります。①または②のどちらかが当てはまるとなれば「糖尿病型」と判定され、再検査となります。その結果もやはり糖尿病型となると、糖尿病と診断されます。

2型糖尿病の患者様が大半

糖尿病は大きく4つの種類に分類されます。ひとつは、1型糖尿病です。これはインスリンを作成するとされる膵臓のβ細胞が主に自己免疫反応によって破壊を受け、インスリンがほぼ分泌されない状態をいいます。小児や若い世代に患者様が多いのも特徴です。体内でインスリンが急激に不足すると、喉の異常な渇き、多飲多尿、全身の倦怠感、意識障害などがみられるようになります。

2つ目は日本人の全糖尿病患者様の9割以上を占めるとされる2型糖尿病です。中年世代以降で発症しやすく、遺伝的要因（糖尿病になりやすい体質）や生活習慣の乱れ（過食、運動不足、喫煙、多量の飲酒、ストレス 等）が組み合わさるなどして起きるのではないかといわれています。自覚症状が出ないことが多いのですが、ある程度まで病状が進行すると、多尿、喉が渇く、易疲労性などが現れるようになります。2型の場合は膵臓が疲弊しており、インスリンの分泌が不足している、もしくは量は十分でも効きが悪い状態となっています（インスリン抵抗性）。

上記以外では、その他の特定の機序、疾患によって引き起こされる糖尿病もあります。原因としては、遺伝子異常をはじめ、内分泌疾患や膵外分泌疾患、肝疾患、感染症等による病気、薬剤の影響等が挙げられます。また妊娠中は胎盤と呼ばれる臓器が作られるのですが、そこから分泌されるホルモンは、インスリンを効きにくくするので、血糖値が上昇したままになることで起きる妊娠糖尿病もあります。この場合、出産後に血糖値は戻るようになりますが、将来的に糖尿病に罹患する確率は高くなります。

合併症に要注意

糖尿病は多くの場合、自覚症状が現れにくいので放置をしやすいのですが、無治療が続けば血液中で増えすぎた糖によって活性酸素を発生させ、それが血管を傷つけるなどして血管障害を引き起こすようになります。とくに細小血管が多く集まる、網膜、腎臓、末梢神経は合併症を発症させやすいことから、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害は、糖尿病三大合併症とも呼ばれます。また太い血管では動脈硬化を促進させるので、虚血性心疾患（心筋梗塞 等）や脳血管障害（脳梗塞 等）などの発症リスクを上昇させます。このような状態にならないためにも、早期発見、早期治療を行うようにしてください。

治療について

治療に関してですが、1型糖尿病の患者様の場合は、インスリンが体内でほぼ分泌されていないので、体外からインスリンを補充するインスリン注射が行われます。

また2型糖尿病の患者様は、インスリンが少しは分泌している状態なので、生活習慣の改善（食事療法、運動療法）から始めていきます。食事面では、過食や肥満によって低下したインスリンの分泌を戻すために適正とされるエネルギー摂取量に努めます（食べ過ぎない）。また一日三食を規則正しくとるほか、たんぱく質・炭水化物・脂質の三大栄養素をバランスよく食べられるように食品交換表を活用するなどしていきます。

さらに運動をすることはインスリンの働きを改善させる効果が期待できるので、日常生活に取り入れます。内容としては、無理をする必要はなく、息がやや上がる程度の強さの有酸素運動（ウォーキングや軽度なジョギング 等）を30分以上行います。できれば毎日が望ましいです。

生活習慣の見直しだけでは、血糖のコントロールが難しい場合は、薬物療法も併せて行います。患者様の糖尿病のタイプに合わせて、インスリンの分泌を促進させる薬（スルホニル尿素薬 等）、インスリンの抵抗性を改善させる薬（ビグアナイド薬、チアゾリジン薬 等）などが使用されます。なお薬物療法でも効果が乏しいとなれば、インスリン注射となります。