大腸カメラとは
大腸は、結腸と直腸を総称した呼び名です。これら内腔を全域において観察することができる検査のことを一般的には大腸カメラといいます。ちなみに正式名称は、大腸内視鏡もしくは、下部消化管内視鏡といいます。
大腸カメラは検査をするにあたり、内視鏡の細長いスコープの先端部(小型CCDやレンズ、照明、鉗子 等が搭載)から肛門に向けて挿入します。ただ大腸内は曲がりくねった構造になっていて、逆流する形で内視鏡が入っていきます。その際は、空気も一緒に体内に入ることから、これが検査中などの腹痛等の原因にもなります。したがって、当院では挿入時に空気よりも腸に吸収されやすい炭酸ガスを送気するなどして、できるだけ苦痛の少ない検査に努めております。
また検査時は、腸内の観察だけでなく、炎症やポリープ、がん病変が疑われる組織があれば、一部を採取し、顕微鏡で詳細を確認する検査(生検)、あるいは内視鏡でポリープの除去が可能であれば、その場で切除する治療(日帰り手術)も行っています。
なお大腸がんも胃がんと同様に発症初期は自覚症状に乏しいです。そのため初期で発見される多くのケースは、定期的に大腸カメラを行うなど健診の結果で判明することが多いです。早期に気づくことができれば、予後は良いとされています。なお早期の大腸がんは、内視鏡のみで直せる場合もあります。早期発見早期治療を実現させるためにも、定期的に大腸カメラを受けましょう。ちなみに大腸がんは50歳を過ぎる頃から罹患率は上昇します。そのため、上記の年齢を迎える方は、これまで大腸に何の症状がなかったとしても定期的に受診されることをお勧めします。
大腸カメラを受けた方がよいとされる方
- 便潜血検査で「陽性」と判定された
- 便通異常(便秘、下痢)が慢性的に続いている
- 血便がみられる(血液が混じった便が出ている)
- 最近になって、体重が急激に減少した
- 貧血を訴えることが多い
- 腹痛や腹部のハリをいつも感じている
- 大腸ポリープや大腸がんを切除したことがある
大腸カメラで発見可能とされる病気
大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸憩室、虚血性腸炎、大腸粘膜下腫瘍 など
大腸カメラ検査の流れ
大腸カメラによる検査を希望される方は、まず当院外来の診察を受けていただきます。その結果、医師が検査可能と判断すれば、日時の予約となります。検査をするにあたって、感染症検査(血液検査)を行うこともあります。また常用薬のある方は、事前に医師へお申し出ください。服用薬によっては、制限を受けることおあります。このほか、大腸カメラを受けるにあたっての注意事項の説明等も受けます。
検査前日の食事につきましては、21時までに夕食を終えるようにしてください。前日の食事は、うどん、おかゆ、パン、白身魚、豆腐など消化の良い食べ物に限定し、食物繊維が豊富な食品(海藻類、きのこ類)や果実類は避けます。飲み物に関しては、水やお茶であれば制限はされません。
検査当日ですが、検査で鎮静剤を使用するので、ご自身での運転(車・バイク・自転車 等)による来院はご遠慮ください。食事は検査が終わるまでは絶食となります。なお水やお茶であれば、飲み物は制限されません。常用薬については、事前に受けた医師の指示に従ってください。院内に到着してからの検査の流れは、以下の通りです。
来院後の大腸カメラによる検査の流れ
問診・診察
大腸カメラを受けるにあたって、医師による問診と診察を受けます。問題がなければ、検査を受けるための準備に入ります。
下剤を飲む
検査しやすくなるように腸内をきれいにします。そのために腸管洗浄液(下剤)を飲みます。この場合、コップ一杯分の量を10~15分かけて飲みます。トイレを往復することになりますが、便が透明になるまで排便を繰り返します。準備が整えば検査着に着替えます。
検査開始
検査直前に鎮静剤を投与します。その後、検査台で左側を下にして「くの字」の状態で横になると、大腸カメラを肛門から挿入していきます。直腸や結腸の内腔を観察し、ポリープやがんなどの病変が疑われると一部組織を採取し、顕微鏡で詳細を調べます(生検)。また切除が可能なポリープであれば、その場で除去することもあります。
検査終了
大腸内の観察が一通り済めば検査は終了です。検査時間は観察のみであれば、10~30分程度です。
検査後の注意点
検査終了後も注意点がいくつかあります。これらは事前にも説明いたします。
- 検査終了後は、鎮静剤の効き目が弱まるとされる状態まで院内でお休みいただきます。時間としては、30分~1時間程度です。
- 食事は、検査を終えてから1時間ほど経過させてからにします。
- 検査当日は、激しい運動はしないでください。また当日の入浴に関しては、シャワーを浴びる程度にしてください。